やっぱり実写化には向かなかった? 『ひぐらしのなく頃に』 ☆☆★

もう先週のことになるのですが、『ひぐらしのなく頃に』を見に行ってきました。
あらすじは……ここを読んでいるような方々には必要ないんじゃないかと思われる人気作品を実写化してしまったアレです。この手のゲームや漫画を原作にした映画はできる限り足を運ぶようにしているので、当然のようにこれも見に行ったですよ。ちなみに同じ日に後述する『お姉チャンバラ THE MOVIE』も見に行っているので豪華ダメ映画2本立てという夢の一日を体験しました(笑)。


さて、映画の方ですが(それほどネットを巡回したわけではないのでたまたまそういう感想を見かけただけかもですが)当然というかなんというか原作ファンの方からは叩かれているようです(^^;
ちなみに自分は鬼隠しと綿流しだけプレイして面白いと思いながらもそこで止まっているのですが、そういう「ある程度内容は知ってるけど特別ファンではない人間」から見た感想としては……意外と丁寧に作ってるよね、というのが率直な感想です。
失礼ながら原作知名度がある程度あるので、手を抜いてもそれなりのお客さんは期待できるわけで、めちゃめちゃ手を抜いた映画になってるんじゃないかと思っていたんですが、いやはやこれは意外でした。


今回の映画は原作で言うところの『鬼隠し編』をベースにしているんですが、再現度という意味でいえばかなり高いレベルで再現できていたと思います。
原作と衣装が違っていたり、梨花の「にぱー☆」だったり沙都子の「〜ですわ」などの痛々しい特徴ある口癖が軒並みボツになっていたりしましたけど、あの部分を原作のままにしているとギャグにしかならんので正解だったのではないでしょうか。
レナの「〜カナ?」だけは変貌した後に彼女の異常性を示すために残されていましたが、それもまた良し。
調子がおかしくなった圭一を診断した入江がこっそりとカルテに「L3」と記入している場面を写すという細かいファンサービスもあってなかなか頑張っていたと思います。
部活の場面がばっさりカットされていたのはファン的には多分評判悪いところだと思いますが、全体の尺を考えるとまあしゃーないのかな、とかなんとか。もっともファンかどうかは関係なくああいったシーンをカットしたために生じた弊害というのもあったのですが、それは後述。


とはいうものの映画としては決していい出来だとは思いませんし、大きな不満が1点あります(ぉぃ
映画として決していい出来だと思わないというのは簡単です。
『鬼隠し』がベースということは、原作(マンガ、ゲーム、小説、アニメいずれでも可)を知らないと謎だらけ……というか、謎は謎のまま圭一も死んでしまって何一つ解き明かされないという宙ぶらりん状態で終わってしまうから。
スタッフロールの最後には「続編企画中!」と出るので、その宙ぶらりん状態に置かれたところで「続編早く見たい!」とか「マンガ読んで続き補完したい!」となれば販促ツールとして十分アリなんでしょうけど、ホラー/サスペンス映画として見てしまうと他にいくらでもいい映画はあるんで印象に残らないんですよね(´Д`;
原作ファン以外は相手にしてないのかもしれないですけど……。


で、大きな不満というのはずばりキャスト(笑)。
レナと魅音が全然魅力的に感じられなくて、圭一くんが完全ハーレム状態で絶対肘に胸とか当たってるのにあんまり羨ましくないっていうのはどうなのカナ? カナ?(マテ
あと竜騎士絵のせいで富竹や大石さんは完全に太っちょキャラだと思っていたので、細身(しかも超うさんくさい)の富竹とかに違和感バリバリ。任務でも取材でもなく、実写版のトミーは普通に泥棒目的で祭具殿に入りそうなキャラだと思いました。
あとは……鷹野さんが……すごく、目尻にシワです……。川原亜矢子も時間には勝てぬか、と複雑な思いに囚われました(^^;
反面、年下組の梨花&沙都子は個人的には全然アリというか普通に可愛いなぁと思ったですよ。巫女服や綿流しのシーンは作中数少ないサービスシーンだと思うので刮目して見るべし。


そんな感じで丁寧に作っているのはわかるけど、しょっぱい映画だったわけですが、見終わってから考えてみるとそもそもこの作品って映像化、特に2時間程度という縛りがある実写映画には向いていないんじゃないのかという気がしてなりません。
ひぐらし』の場合、怖さというか最初に驚きをもって迎えられたのって部活に代表される一見すると萌えゲーみたいな学園生活が綿流し以降、どんどんおかしくなっていくっていう歯車のズレにあるわけですよ。
たとえばそこひとつ取ってみても、実写映画だとそこに時間を割けないので日常シーンをほぼカットした結果、その落差のおもしろみは完全に消えてしまうわけです。
それ以外にもやっぱり一人称視点で、しかも主人公のモノローグを入れることで読者をミスリードさせられるゲーム媒体と比較すると、そういった手を使いにくい(マンガはおろかアニメよりも実写映画の方が多くの場合モノローグ少なめです)実写映画には向かない作品なのかなと。
圭一が狂ってるのか、村が狂ってるのか、呪いが存在するのか……その境界がボケていくところが初期『ひぐらし』の面白さのひとつであり、推理が盛り上がった理由だと考えているのですが、今回の映画を見た人で「圭一が狂っただけじゃね?」という以外の結論に達するのはむしろ難しいんじゃないかなぁ。
個人的には深夜枠で1クールのドラマにでもした方がいいんじゃないかと思った、そんな映画でした。


で、映画の内容とは全然関係ないんですが、中高生がやたら多くてビビりました。知識として中高生に人気があるっていうのは知ってたけど、本当に人気なんですね。すげーわ、ガンガンの効果って。