舞台版『キサラギ』を見に行ってきた

ちょっと前になるんですが、世田谷パブリックシアターで上演された舞台『キサラギ』を見に行ってきました。
昔からウチのサイトを見てくださっている方には説明の必要もないでしょうが、2007年に上映された映画『キサラギ』の舞台版です。もっともこの作品は舞台劇だったはずなんで、里帰りしたというのが正しいのかもしれませんが……(^^;
2007年公開の映画版の感想はこの辺に書きましたが、もともと「酒井香奈子がD級アイドル役で出ているらしい」というだけの理由で見に行ったくらい全く期待していない作品だったんですが、ものの見事にハマってしまいサイトで絶賛したほか色々な人に勧めまくったものです。
実際自分の周りだけでなく、何人か「MU-6さんの感想を見て劇場に行きましたよ〜」なんて言ってくださる方もいて、いずれも好評で我がことのように嬉しかった記憶があります。


最終的に映画館で3回、DVDでも何度か見ていて主だった台詞は全部覚えているくらいのマイフェイバリットでしたので、また舞台でやると聞いては見逃すわけにはいきません。平日に会社休んで行ってきたさ!(ぉぃ
……しかしアレですね。平日の日中から舞台劇の鑑賞なんてどんだけ有閑倶楽部だよとか思ってましたけど、日本も結構ゆとりのある人が多いんですね。600人くらい入れる劇場のはずなんですが、ほぼ満員になってました。ついでにお客さんのほとんどは女性で(これは出演者が全員男性なんである種当然なのかもですが)有閑マダムとはよく言ったものだなと嫌な感心の仕方をしてみたり。


――んで、感想ですが。
相変わらず面白かった! けどもう少しアレンジなりがあってもよかった気がしました。
確かにアドリブと思われるところがあったり、映画版のセットよりも舞台の方が広々としているので途中いくつかあるアクションシーンなんかの動きが大きかったり、舞台ならではの良さというのもありました。
映画版だとどうしてもカメラのフォーカスが合っている人に視線が行ってしまうけど、舞台だと自分が見たい人にフォーカスできるので全てを知っている今となっては「ここでこいつがこの台詞を言っているとき、あいつはどんな反応をしてるんだろう?」というような楽しみ方もできますしね。(映画版でもそういった楽しみができるようにかなり気を配ったカメラワークにはなっていたと思いますが)


でも、それでももうちょっとアレンジがあったら良かったなーと思ってしまったのも正直なところ。
もともと完成度が高いシナリオなんで変に弄ってしまうのも、ということなんでしょうけど展開はもちろん、細かいギャグなどほとんどの台詞がそのままだったんで……。今回のキャストの皆さんもキャラクターにはぴったりだったと思うんですが、オダ・ユージ役にユースケ・サンタマリアを使うようなある種反則をやっていた映画版を見た後だと少しだけ物足りなく感じちゃうんですよね(^^;
登場人物のうち一人・安男が「後ろ斜め45度から見るとジョニー・デップに似てるって言われたことがある」と言う場面などは、その後のやり取りでちゃんと笑い取れているんですけど、明らかにブサイク(褒め言葉)の塚地武雅がその台詞を言うのを見てしまうとまるでアテ書きだったんじゃないかと思ってしまうくらい面白くて、ちゃんとイケメンであるがゆえに「ああ、もしかしたら見える……かも?」と思ってしまう舞台版はちょっとパワー不足かなとかなんとか。
アテ書きじゃないですけど、少しキャストに合わせて台詞を変えるようなことがあると二重の意味で嬉しかったなぁ。


しかし、舞台は生ものというくらいだから本来は2回3回と見てコメントするべきなのかもしれません。
「物足りない」と言いつつ、細部まで覚えているはずなのにきっちり楽しめたんだから十分とも言えますし。
数こそ多くないもののアレンジされた部分は実はなかなかGJな仕事ぶりで、新たに公開された如月ミキのCD販売枚数は彼女の売れなさっぷりを浮き彫りにしていてニヤリとさせられましたし、舞台に合わせて如月ミキが最初で最後のコンサートをやった市民ホールという形に設定を変更したオフ会の会場はラストシーンへの繋ぎもバッチリで素晴らしいアレンジだったと思います。
それだけに「もうちょっと、もうちょっと」って思ってしまうのかもしれません(^^;


東京公演はあと5月中旬の追加公演を残すのみですが、他の地域ではまだこれから公演が控えているようです。
映画版を見ていても十分に、見ていなければ間違いなく楽しめる舞台だったんで、もし興味があれば足を運んでみてください。ちょっと調べてみると大阪公演はほぼ完売みたいですが岡山・仙台・福島・北海道・金沢・愛知はまだ残ってるみたい。特に北海道・金沢・愛知は土日祝日の公演なので行きやすそうです。うらやましい……。
舞台は金額的にちょっと敷居が、という人もまだ見たことなければぜひDVDで見てみてください。これ、何度も言ってるけど少なくとも見て後悔することだけは絶対ないと思うんで。


――ちなみにどうでもいい余談ですが、映画と舞台では如月ミキの持ち歌が違うんです。で、曲の出来はともかく舞台のミキさんは結構歌が上手くて「D級アイドル」としての説得力は映画版に軍配が上がるなぁと思ったのでした。
やっぱり香奈子は最強のD級アイドルだよ!(暴言)