『バンテージ・ポイント』見てきた ☆☆☆☆★

というわけで公開されたばかりの『バンテージ・ポイント』を見に行ってきました。
あらすじはこんな感じ。

テロ撲滅の方針を取り決める国際会議が開催されているスペイン。テロへの反対、あるいはアメリカの独走に対する反発……様々な意見を持った群衆が取り巻く中、サラマンカ広場にてアメリカ大統領の記念声明が発表されようとしていた。
広場にいる群衆が、そしてテレビを通して世界中の人間の注目を集めるそのスピーチが始まる、まさにその瞬間、
――二発の銃声が沈黙を打ち破った!


突然の大統領狙撃、さらに立て続けに起こる爆発テロ。
大混乱の中、シークレットサービスのバーンズ(デニス・クエイド)は姿なき狙撃犯に立ち向かうのだが……

いや〜、これ相当に面白いですよ!
本作はいわゆる『羅生門』方式と呼ばれる、同じ出来事を複数の視点から語ることで、最初の視点Aではわからなかった真実が徐々に明らかになっていくという形式を取っています。これの使い方がもうめっぽう上手い。


大統領がやってくる様子を少しでもいいショットで捉えようとするテレビ局クルーのドタバタから始まって、実際に大統領が狙撃されるところまでの最初のシークエンスからして、既に惹きつけられるんですが、そこから先、ここの登場人物の「視点」に移って綴られる場面もどれもこれも個々のパートがいいところで終わるんですよ!
新しい真実が明らかになって、そこからさらに話が展開していって「おおっ、ここからどうなる!?」ってこっちの気持ちが最高潮に盛り上がったところで、また時間が巻戻って他の人の話になってしまう。
で、またその話はその話で面白いもんだから……という正のスパイラル。
90分と決して長くはない上映時間ですが、常にテンションは高い状態でキープされていて、全く物足りなさを感じませんでした。「息つく間もない」とはまさにこのこと。実際に咳するのも忘れてたしな。


ラストのラスト、事件解決が偶然なされた感じになってしまったのだけ少し残念でしたけど、全体として大満足だったのは事実。あのラストの辺りは「テロリストも人間なんだよ」みたいな部分を入れておかないと最近のアメリカでは受けないのかな、と考えたりすると深い…ような気がしないでもないですが、オレが書いているのは評論を気取った文章ではなく、あくまで感想なのでその辺深くは考えません(ぉぃ
本家『羅生門』は見たことがなく、それとの対比で語ることができないのが残念でなりませんが、本家も見たいと思わせてくれる優れたリメイク(という言い方でいいのかな?)になっていたと思います。
評価は☆4つ半、ラストで全部の線が綺麗に繋がって解決してたら☆5個つけてたかと(敵側の「視点」もあるからそれは無理なのかもしれんが)。


ゲームっ子の自分はこういうのを見ていると『街』とかエロゲジャンルで『EVE burst error』とか思い出すわけですけど、やっぱりこういうのはいいなぁ。シナリオの構成力が高くないと絶対できないんで、作るのはそう簡単じゃないでしょうけど…また出ないもんじゃろか。