春だもの!

すみませんね、せめてブログ開設から1ヶ月くらいは毎日更新したいと思いながらも仕事があったりでなかなか思うようにいかないMU-6です。会社生活との二足のわらじはこれでなかなか大変なのですよ……(´Д`;
とりあえず過去に遡ってでも開設から1ヶ月を迎えるまではなんとか毎日更新を続けたいと思っておりますが、どこまで意思に身体が付いていく事やら。ゲームもやってないし映画も見てないし、マジで仕事と友人相手の電話(これをやめればゲームでも何でもできるのかもだけど)しかやってないんで書くことないんですよね(ぉ
とりあえず今抱えてる仕事が一段落ついたら、各所で好評の同人ゲーム『ひまわり』でものんびりプレイしたいというのが、今の望みです。


さて、前回に引き続き「春が来た」という話題ですよ。
会社からの帰り道、上野にある回転寿司のお店に行きました。ときどき「自分へのご褒美的お寿司」として食べに行くんですが、この日もなかなかの盛況。お店の中に入って待つことにします。
待つことしばし席に通され早速微妙にカピカピになったお寿司でも関係なくがつがつ食べるMU-6さん。すると入り口の方で何やら揉めている様子。
「さっきからずっと待ってるのにいつになったら通してくれるの!」
そんなことを喚いているおじさんが店の人を困らせています。店員さんは「いえ、お待ちいただく場合は店内で待っていただくことになっておりまして…」と一生懸命説明。
そういえば店から5メートルくらい離れたところに立って、このお店をじっと眺めていたおじさんと同一人物です。
どうやら店の外でずっと待っていた模様。思いっきり店の中に待つためのスペースあるのに、そんなところに立ってて「待ってた」と言われてもそりゃ店の人も困るだろうよ…。まあ一応お店の人の説明を聞いて納得したらしくおじさんも待合いスペースに座った模様。店も妙な雰囲気から解放され、MU-6さんも目の前のお寿司の処理に戻ります。


やがて自分の隣の2人連れが立ち去り、店員さんの「お次、1名様どうぞー!」の声が店内に響きわたります。
思えば自分のアンラッキーフラグ体質を考えればこの時点でフラグは立ったと言っても過言ではないのですが。
ええ、そうです。さっきのおじさんが隣にやってきました。


しばらくおじさんのことを気にせずにお寿司を食べていたのですが、どうにも彼のことが気になって仕方ありません。
なんでかって?
彼がずっと「メニューないのかな? メニューないと頼めないんだけど」と独り言を呟いているからです(´Д`;
あのー、おじさん、目の前にある「お品書き」って紙はなんだろうか?
どうやらお品書きはメニューとして認識されていない模様。つか、最悪お品書きを理解できなくても周りの人がベルトコンベアの上から寿司を取ってるんだから、それの真似をすればいいのに……。そう思わずにはいられませんでした。
が、それは早計というものだったのです。なぜか? それは以下のおじさん言行録を読んでいただければわかるでしょう。

  • 席に着くなり「今日は1万円くらい使っちゃおうかな」の発言
  • ことあるごとに「中トロってなんですかね?」と自分の中にいるもうひとりの誰かに質問

……どうやらおじさんは回転寿司もお寿司自体のこともよく知らないようなのです。
いや、「もうひとりの誰か」に質問を投げたりしているのを見ていると単に「春だから」の一言で済んでしまう問題なのかもしれませんけど(笑)。


やがておじさんの正体に迫る瞬間がやってきました。
そろそろお腹も一杯になって店を去ろうかと私が考え始めた頃、注文方法がわからなかったためにビールと刺身盛りだけで場を凌いでいたおじさんが意を決して店で一番高いメニューであるところの大トロを頼んだのです。どうやら「1万円くらい使っちゃおうかな」は本気のご様子。
しかし残念ながらその日、大トロは店に入荷していませんでした。
「なんで? メニューに載ってるじゃない。どうしてないの?」
と食い下がるおじさんに対して謝る店員さん。多少の問答の末におじさんが「わからない」と言っていた中トロを代わりに出すということでまとまったのですが……その直後おじさんがこう呟いたのです。
「ないんだったらメニューから1回ごとに消しなさいよ。ここは日本でしょ?」


その瞬間、自分の脳内に物語の神様が舞い降りました。

康夫は田舎くさいこの町が嫌いだった。すぐに暴力を振るう父親も、その父に従うばかりの母親も大嫌いだった。
今にして思えば若さ故の反抗だったのだろう。康夫は18になったその晩、夜行列車に乗って町を出て行った。
若かった。意味もなく自信だけは持っていた。
家から持ち出した幾ばくかの金を手にして康夫が向かった先はアメリカ。そこでなら、きっと何か大きなことができると、そう思ったのだ。


――気がつけば30年の月日が経っていた。
何か大きな事ができたわけではないが、アメリカで人並みの生活を送れるようになってもうずいぶん経つ。
こちらで出会った妻とハイスクールに通う息子。まあ充分に幸せだと言っていいのだろう。
そんなある日、彼の元に1通の手紙が届く。
差出人は遠い昔に捨てた故郷の弟。
「なぜ、この住所を? ここのことは誰にも言っていないはずなのに……」
そう思いながら封を切ると、そこには様々なことが書かれていた。


父は人を使って方々探し回ったこと。やがてちょっとした手がかりからアメリカに移り住んだことを掴んだこと。
でも康夫の意思を尊重して彼を連れ戻すような真似はしなかったこと。
そして――、ガンを患い、あと半年もせずに恐らく父は天に召されること。


「父さんは何も言わないけどきっと兄さんに会いたいと思っているはずだ。帰ってきて欲しい」


弟からの手紙はそう締められていた。


2週間後、上野駅に康夫の姿があった。
この駅から特急に乗って、そこから在来線に乗り換えれば3時間もせずにあの故郷へと帰れる。
昔は東京まで出てくるのに7時間もかかったのにな……、駅舎を見ながら苦笑する康夫。
ふと小腹が空いていることに気がついた彼は30年ぶりの和食を口にしようと、目に付いた寿司屋ののれんをくぐるのだった。


「なんだって寿司がベルトコンベアの上を回ってるんだ?」
彼が様変わりした日本文化にカルチャーショックを受けるのは、まだほんの少し先のことだ。

こう、そんな感じの話がモリモリと毒電波に導かれて湧いてくるわけですよっ!(えー
「ここは日本でしょ?」ってことは今までは日本じゃないところにいたに違いない、的な発想で。
もう自分の中でだけ

父 「誰だ、お前は? 私はお前のような男は知らないが」
弟 「父さん!? その言い方はないだろ、兄さんはせっかくアメリカから……」
康夫「いいよ、隆史。結局この人はそういう人なんだってことさ」
弟 「父さん!」
(立ち去ろうとする康夫)
父 「…本当に知らんのだよ、君のような男は。私の知っている康夫は、こんなに、立派ではなかった…」

みたいな、恐ろしく安っぽいドラマが全力で展開されてました。つーか、寿司喰え俺。
ま、「中トロってこんなにおいしいものだったんですね」と人生初中トロに大感激していたそのおじさんが、その後東北方面の特急に乗ったかどうかは全然わからないんですが、結局1万円使うどころか中トロを食べ終わったら速攻で席を立ってしまったおじさんを見ながら「世の中変わった人が多いよなぁ」とひとり思うのでありました。
あんなに感激してたのに何か他で気に入らないことがあったのかな?


うん、わかってますよ。
おじさんの何気ないセリフからここまで妄想が膨らんでしまう自分も充分に「春だもの」なことは。春が来てずっと春だったらいいんですよ。放って置いてください。