西又葵です。&にゃんだふる!! 買ってきたので感想を書いてみた

ども、MU-6です。前回立川で予約した西又葵先生の本2冊を引き取ってきましたよ。
というか偶然にも1月30日に立川方面に外出する用事が入りましてね。土日で回収に向かうしかないと思っていたんですが、金曜日の午前中には引き取ることができてしまいました。まさか整理番号2桁が取れるとは思ってなかったんで、MU-6さんちょっと感激ですよ。これはもう天の配剤としかいいようがないな。
まあ発売当日の時点では予約者自体、100人未満だったんですけどね(ぉぃ
いらんかった、2桁取るだけなら何の努力もいらんかった!!


――ともかく。そんなこんなで買ってきた本の感想を早速書こうと思うわけです。
が、『にゃんだふる!!』の方は普通に普通のねこ写真集ゆえ、著者兼飼い主がたまたま西又御大だというだけで特筆すべきことはありません。ねこ好きの人なら普通に「ねこかわいいです」という気持ちになれるんじゃないでしょうか。
だったら他のねこ写真集でもいいじゃんというのは禁句な。
ちなみに犬も写っているけどあんまり目立ってないんで、犬好きはなおのこと他の写真集を買うといいと思います。
「俺様(ねこ)的ポジティブシンキングな1冊」ということで御大が飼っているねこの中でもリーダー格の広東(♂9才)の視点で前向きなメッセージが綴られております。例を挙げるとこんな感じ。

風呂に入れば、色々なことがきれいさっぱり洗い流せる。
でも、自分の為に少しだけ、悔しかったことを残しておく。
次に頑張れる糧になるから。

……ねこ、無駄にかっこいいな。


MU-6さん的には本筋に全然関係ないんですけど

広東、中華、パフェ、サンデー、プリン、ユッケ、チョコ、もんじゃ、ムース、点心、白玉、はまぐり、アンチョビ、モダン、わさび、からし、あさり、ほたて、ちくわ、マロン、しじみ

という「お前、その日食べたメシで名前つけてんじゃねえのか」という西又先生のネーミングセンスに感服することしきりでした。いやまあ20匹も飼っていて、いちいち「ジョセフィーヌ」とか付けてたら呼ぶの面倒だとは思うんだけどさ……。


んで、多くの人にとってメインと思われる『西又葵です。』の方ですが、これは一言で要約すると「私の履歴書西又葵」。
あ、説明するまでもないと思いますけど日経でやってるアレね。
出生から今に至るまでの西又御大の半生が本人の言葉で綴られている、そんな1冊です。
活字離れが叫ばれる昨今の若者にも優しいかなり文字数の少ない仕様になっており、合間合間に挿入される西又葵のイラストの数々(たぶん全部過去に描いた版権イラストの再掲なんじゃないかという気がするけど、そこは気にしたら負けだ)&西又葵プライベートショットが添える華やかな彩りによって高い満足度を生み出しています。幼少期の写真に至っては体操服姿まで曝しているのでファンなら親を生命保険に入れて保険金詐欺を働いてでも欲しい1冊と言えるでしょう。どうせならレイヤー時代の写真も入れればよかったんじゃないカナ? カナ?
※プライベートショットの一例
ぶっちゃけプライベートショットはかなり誰得感があるというか、「この顔の丸みがかった感じがマナティを彷彿とさせるからミエティって呼ばれてるのかな」とか思ったり思わなかったりなんですが、これ以上書くとマジで訴訟沙汰になりそうで怖いので踏み込むのはやめておきます。
これは“たとえば”の話ですよ。僕らがここに書くのは、たとえばそんなメルヘンですよ。


少し真面目な方向に舵を戻しますと、「私の履歴書」ですから当然都合の悪いところについては記述がありません。
たとえばBasiL消失からNavel誕生までなんかはきっとそれだけで本1冊作れるくらいのドラマがあったと思うのですが、そういうところは驚くほどにあっさりと流されています。
しかしその一方でPSで発売された『夏色剣術小町』でキャラデザのみの担当になった際の話や、BasiLを立ち上げる前にエロゲの話が1個流れていたというエピソードなど御大とはいえ順風満帆なイラストレーター人生ではなかったのだということがわかる挫折話が載っていたりと要所要所ではきちんと踏み込んだ話が出てきます。
中でもご両親の離婚にまつわるエピソードなどは逆に読んでいるこっちが「……サラッと書いてるけど、これ、ここまで書いちゃっていいのかなぁ?」と心配になるほど。


他に印象に残ったのは自身の絵について語ったこの文章。(引用部加工はMU-6)

(前略)ちゃんとデッサンしてキャラクターを描かれているイラストレーターさんは、かなりいると思うけど、私はそういう方々とは、ちょっと方向性が違っていて、全体的な見栄えの良さで描くことにしているのです。
基本的に画力については追求していなくて、やっぱり見た目の派手さやバランス、絵としての可愛さを意識しています。
コンセプトとしては、パッと見た時にわかりやすい絵を描くということ。
私の絵は若い人や、まだアニメに詳しくない人たちのような、こっちの業界の知識が浅い方に好まれているみたいです。

いわゆる「二次元的なフィクション」と「西又レセプター」*1に関する本人の言及。独特の美学と冷静な分析が垣間見えます。
全体的な見栄えの良さとデッサンは必ずしも相反する要素ではない気もしますが、それは素人考えというものでしょう(ぉぃ
そんな西又先生ゆえ、かつてのMU-6がそうであったように他のイラストレーターさんの絵を見るにつれ「こっちの方が上手いじゃん」と別の人のファンになってしまうことも多いようですが、その状況もねこから分けてもらったポジティブパワーにかかればこうなります。

きっと、私の絵はイラスト好きになっていく人達の登竜門的な感じというか、入り口なんだと思います。
(中略)
イラストの世界をいろんな人に知ってもらうこと……それが私の、西又葵の使命だと思っています!

……ねこ効果、すげえ。


――とまあ、いろいろ書いてきましたけど、最近ではすっかり地方活性化のエキスパートになりつつあり、そのうちこの実績を武器に地方議会あたりに参戦するんじゃないかと(主にオレの周りで)言われている西又先生ですが、絵描き西又ファンならこの本、黒い意味抜きで満足できると思います。さっきのプライベートショットに関しては誰得って書きましたけど、本文そのものは綺麗事っぽいところも多いけど私の履歴書」としては十分な内容だとオレも思いました。
ちなみに本と同日発売された『俺たちに翼はない』についても少しだけ書かれているのですが、かなり挑戦的な内容のようです。自分もまだ初回プレイ中ですが、これからどう展開していくのか楽しみです。あえて成功が約束されている『SHUFFLE!』のようにしなかったというのは、「ずっと挑戦していきたい」というチャレンジ精神旺盛な先生らしいですね。

ただエッセイのタイトルを手書きにするチャレンジは控えた方が無難だったかと思われます(^^; 桃戦って……。

*1:10代をピークに年齢を重ねる過程で失われるとされる西又絵を受け入れるセンスのこと。MU-6の妹が20歳を境に西又絵に違和感を覚えるようになったことから命名された